家の中が静かになる瞬間が、私は好きです。
子どもが学校へ行って、夫も仕事へ出かけて、
「ふぅ」と息をついたときのあの空気。
家事をやらなきゃと思いながらも、
とりあえずソファにすわって、
お湯をわかして、お気に入りのマグカップを出す。
静かにカップを両手で包んで、飲むだけの時間。
それが、私の“ひとり時間”です。
昔は、「誰かと一緒にいるのが普通」だと思っていたから、
この“ひとり時間”に罪悪感がありました。
家族を放っておくことになるんじゃないか、
ちゃんと主婦としてやってないんじゃないか――そんな気持ち。
でも、ある日ふと気づいたんです。
「わたし、この時間がないと心がしんどくなる」って。
ひとりの時間は、さびしさではなく、安心なんだと知りました。
誰とも話さなくていい。気を張らなくていい。
ただ、静かに、深呼吸して、自分に戻れる時間。
本をめくったり、好きな音楽をかけたり、
洗濯物をゆっくりたたんだり――
なんでもないことが、ぜいたくに感じられるのがこの時間です。
もちろん、にぎやかな時間も大切。
でも、対人がちょっとしんどい私にとって、
ひとり時間は「こころの休憩所」。
「わたし、ここにいていいんだ」って、
そっと感じさせてくれる時間です。
ひとりで過ごす静かな時間は、
私の気持ちを整えてくれる、やさしい味方です。